鍵と財布が神かくしにあった話

「八幡の藪知らず」じゃないけれど、今の今まであったものが見えなくなってしまう、無くなってしまうなんて経験ないでしょうか。そんな神かくしにあったようなお話。

わたしがまだ小さかった頃、通っていた幼稚園で「オモチャや本など、使ったものは片付ける」ということができるようになりましょうというカリキュラムがありました。そのとき先生が見せてくれたのは、ちょうどファミリーレストランなどでデザートだけのメニューが書いてあるポップのような三角形のもので、ちょっと怒ったような顔の小鬼のキャラクターが描いてあるものでした。先生曰く「今日からお家でも、物を出しっぱなしにすると、これが現れます。できるだけこれが出てこないようにしましょう」ということでした。

そんな話はすっかり忘れて、家に帰ったわたしはおもちゃで遊び、本を読み、夕方にはテレビにクギ付けになっていました。するとどうでしょう、いつのまにかオモチャも本も無くなってしまい、そこには幼稚園で先生が見せてくれた小鬼のキャラクターが出現していたのです。もちろん、今思えばひそかに幼稚園から連絡を受けた両親が協力していたに違いないのですが、当時のわたしにとっては恐怖以外の何物でもありませんでした。

とはいえ現在のわたしが、そのときの経験のおかげできちんと片づけができるようになったかというと、残念ながら決してそんなことはありません。ついこの間も彼氏の家に遊びにいったとき、目の前に置いておいたはずのカギを財布が同時に行方不明になりました。どんなに探しても出てこないので、わたしは彼氏に八つ当たりを始めましたが、そんなのいつものことだと言わんばかりの彼氏は、一緒に探してくれようともしません。
結局それは洗面台でみつかったので、わたしがトイレに行ったときに置きっぱなしにしたのだということになりましたが、いまだに納得がいかず、神かくしだったのではないかと思っているのです。